でもこれからが、ここが正念場

こういったはじめての海外経験を通じて何とかなるな、と認識することは自信もついていいことです。が同時に英語学習の大きなターニングポイントだと思います。

  • いまでも海外に出ると当時の自分を見るような初めての海外アサインメントでがんばっておられる若い日本の会社の社員を時々見かけます。つたない英語でそれでも一生懸命コミュニケートしようとしている姿を見ると、思わずがんばれ!と思ってしまいます。
  • おそらくこの人々もこのようなひとつの海外での経験を終えて帰ってきたときには、何とかなる、といういう自信に満ち溢れていることと思います。いいことです。でも問題はこのあとです。
  • 見ていると、きわめて多くの日本人がこのレベルでなんとなく満足してしまい、それ以上の向上を求める気持ちが弱くなっていくということが多いようです。心配していたけど何とかなった。思ったよりうまく通じた。もう大丈夫だ、という気持ちが強く働いてしまうのかもしれません。
  • しかしTOEICで700-800点程度というのは、たとえば自転車でいえばやっとこけずに乗れるようになった瞬間のようなものです。まだフラフラで傍から見ていれば危なっかしいこと極まりない状態です。今現在、このレベルの人にはわからないかもしれません。上達したあとにわかります。当時の自分の自信が如何に脆い基盤に基づいていたかがわかります。
  • おまけにこのレベルで学習の手を休めてしまうと英語力は間違いなく退化していきます。やっと乗れるようになった自転車をしばらく乗らないでいたら、乗れなくなっていたようなものです。
  • わたしが最低でTOEICで900点以上を目指しましょう、といったのはここにも意味があります。自転車にしばらく乗ってなくても、その後いつでも乗れるように、英語が本当の自分の中に定着した資産としてワークし始めるのが最低900点レベルくらいだろうと思うわけです。
  • このことは後ほど外資へ転職したあとのひとつの事例からもわかります。当初こういうことがありました。日常、会社で英語を使っているうちはいいのですが、年末年始あるいはゴールデンウィークなどで長期休暇のあとに特にOutputのスムースさが落ちているのが目に見えてわかったものです。しかし自分の英語力が上達するにつけ、だんだんそれがわからなくなってきます。現在では長期休暇のあとの初日にスピーキングが渋いということはほとんど皆無になってきています。ひとつの例です。